日本の夏といえば、蒸しつけるような湿気と容赦ない酷暑がセットでやってきます。しかし、タイムレスな伝統文化が息づく京都には、この厳しい暑さを優雅に乗り切るための粋な解決策が存在します。

京都市中心部から北へ1時間余り、青々とした山々に囲まれた貴船の集落には、貴船川のせせらぎをバックに暑さを忘れさせてくれる15軒の料理店が暖簾を掲げています。川の上に設置された木組みの座敷で食事を楽しむ地元の川床料理は、江戸時代(1603〜1867年)に旅人や修験者たちが川沿いで涼を求めたのが始まりとされています。 

川床文化は今なお、清流の心地よい流れの上で旬の美食を堪能できる静かな避暑地として人々を魅了し続けています。この夏真っただ中の風物詩を味わえるのは年にわずか数ヶ月間。だからこそ、その一瞬一瞬が自然と一つになれる貴重な機会のように感じられるのです。

この川床体験において最も歴史ある名所の一つが、貴船神社の向かいに位置する100年以上の歴史を誇る老舗「貴船 喜らく」です。今夏のシーズン、同店はフレッシュな海鮮を網焼きで味わう新しい「炭火焼きコース」を立ち上げ、五感を刺激する至福の美食体験を提供しています。 

画像提供:貴船 喜らく

100年以上の歴史を重ねて

喜らくのルーツは1921年(大正10年)に遡ります。前身である九谷屋は、貴船神社や近くの鞍馬寺を参拝する旅人たちのための素朴な旅籠として開業しました。若くして夫を亡くし、家計を支えるために店を切り盛りした創業者は、暖簾をくぐるすべての旅人を心のこもった温かいおもてなしで迎えたことで知られていました。

その後、京都の有名料亭で修業を積んだ息子が料理旅館へと進化させ、1949年(昭和24年)には夏の名物である川床料理の営業が本格化しました。以来、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。 

Kibune Kiraku kawadoko dining in kyoto

画像提供:貴船 喜らく

川のほとりで味わう至高のラグジュアリー

川がもたらす天然のクーラー効果は、足を踏み入れた瞬間に体感できます。門前のメイン通りは夏の強い日差しで熱気を孕んでいますが、日陰になった川沿いに入ると、ひんやりとした冷気が蒸し暑い空気を吹き飛ばしてくれます。京都市街から貴船の川床へ足を延ばせば、都心部よりも最大で10度ほど気温が低い爽やかな世界が広がっています。

川床は単なる川沿いというよりも、清流の真上に身を乗り出すような絶妙なロケーションです。来客が腰掛ける木組みの座敷は、川の上に直接設置された仮設の木製デッキ。板のすぐ下を激しく流れる水流が通気性を高めると同時に、貴船の夏を演出する天然のBGMとなって響き渡ります。

Kibune Kiraku kawadoko dining in kyoto

Photo by Mio Imai and Aya Sato

苔むした巨石、澄んだ空気、そして木々を透かして射し込む柔らかな木漏れ日が加わり、すべての川床座敷が極上のオアシスとして完成されています。 

新感覚の「炭火焼き」体験

今夏限定で、喜らくは福岡の名高い鮮味料亭「江藤家」とのコラボレーションを実現。両店の歴史と卓越した職人技が融合した、他では味わえない川床での炭火焼きコースを提供しています。

五感全体で味わう没入型のダイニングとして設計されたこのコースは、旬の食材を集めた八寸から始まります。山かけを添えた新鮮なマグロや、暑い時期の水分補給と体力回復に効果的なきゅうりと鰻の酢の物「うざく」など、工夫を凝らした逸品が並びます。さらに、梅の風味が効いた京都らしい瓜の漬物など、地元の味わいを活かしたアクセントも印象的。色鮮やかな小器の舞台に盛り付けられた料理を少しずつ味わうのも、喜らくでの食事の醍醐味です。

Photo by Aya Sato

続いてメインとなるのは、喜らくのスタッフが卓上でじっくりと焼き上げる極上の新鮮海鮮の数々。車海老、タコ、アワビ、サザエ、3種類のマグロ、そして京都の夏の風物詩である鱧が次々と網の上に並べられます。素材本来の旨味を引き立てるため、特製の自家製ダレや濃厚な胡麻ダレなど、多彩な薬味が添えられます。さらに、お客様自身で生ワサビをすり下ろし、岩塩とともに味わえる工夫も。 

極上の脂が乗った絶品の「大トロ」と、まろやかな「中トロ」の食べ比べを楽しんだり、バターのように濃厚な貝類の味わいに舌鼓を打つことができます。

さらに、お好みで国産黒毛和牛フィレ肉を追加注文することも可能。とろけるような肉の旨味をプラスして贅沢を極めることができます。

炭火焼き海鮮に完璧にマッチする飲み放題サービスも含まれています。ビール、ワインをはじめ、江藤家のオリジナル日本酒「つつもたせ」など、全国から厳選された20種類のドリンクを取り揃え、福岡県が誇る気品ある酒文化の伝統に光を当てています。 

喜らくでは、アルコールに負けないほどこだわり抜かれた7種類のソフトドリンクも用意されています。香辛料が絶妙にブレンドされた京都産のクラフトコーラは、甘すぎず大人好みのスパイシーな味わい。シュワっと弾ける炭酸が、スモーキーな焼き物料理によく合います。

画像提供:貴船 喜らく

コースの締めくくりには、出汁の効いた優しい味わいのお茶漬けが登場。炊きたてのご飯に鰹出汁を注ぎ、香ばしく炙った明太子を添えた至高の一杯です。

Photo by Mio Imai and Aya Sato

予約・店舗情報 

喜らくの「川床グリルコース」の提供は9月30日までの期間限定です。ご予約は、喜らくの公式ウェブサイトより5日前までに完了してください。お電話でのご予約は受け付けておりません。店舗の詳細は公式ウェブサイトおよびInstagramをご覧ください。

川床グリルコース

価格: 35,000円(税込・飲み放題付き)
追加オプション(和牛フィレ肉 500g): +15,000円

アクセス

住所: 京都府京都市左京区鞍馬貴船町47

貴船 喜らくへは、電車、地下鉄、路線バスを乗り継いでスムーズにアクセスできます。貴船口駅からはタクシーまたは川床エリア直行の送迎バスをご利用いただけます。所要時間はルートや当日の道路状況により異なりますが、京都市中心部から1時間余りです。

 

この記事は、Aya Satoによる英語の原文を翻訳・編集したものです。