都心からわずか90分の場所にある青梅市の御岳山は、秩父多摩甲斐国立公園の荒々しい自然美を堪能できる穏やかな日帰り旅行を提供してくれます。標高929メートルの御岳山には、古社や苔むした森、そして「宿坊」と呼ばれる伝統的な山の宿があります。景色を楽しみながらの散策や、首都圏からアクセスしやすい日本の田舎情緒を求めているなら、御岳山は最高の逃避行先です。都会のすぐ近くにありながら、まるで別世界のような感覚を味わえます。

ここでは、東京で最も美しく、それでいて見落とされがちな山の隠れ家、御岳山で過ごす一日の楽しみ方をご紹介します。

Mitake Shrine

午前:ケーブルカーで聖なる高みへ

まずは御岳登山鉄道を利用しましょう。急勾配を登るケーブルカーが、滝本駅から御岳山駅までを約6分間で結びます。そこから、古い木造の宿や土産物店が並ぶ絵画のような集落を通り、なだらかな上り坂を20分ほど歩くと、この山の精神的な中心地である武蔵御岳神社に到着します。

2,000年以上前に創建された武蔵御岳神社は山頂に鎮座し、「おいぬ様」と呼ばれる狼の神を祀っています。旅人を守ると言われていることから、愛犬を連れて祈祷を受ける参拝客にも人気のスポットです。神社は歴史と自然が調和した独特の雰囲気に包まれており、晴れた朝には東京方面や関東平野の絶景が広がります。天気が良ければ、遠くに東京スカイツリーが見えることもあります。

午前遅く:自分に合ったハイキングコースを選ぶ

ここからは、時間や体力に合わせてハイキングをカスタマイズしましょう。御岳ビジターセンターから出発する、地形や雰囲気の異なるおすすめコースをご紹介します。

ロックガーデン周遊コース(往復2.5時間)

最も人気のあるコースには理由があります。この1.5kmのトレイルは、清らかな渓流に沿って、緑豊かな苔むした渓谷やドラマチックな岩場を通り抜けます。途中で七代の滝に立ち寄ったり、急な階段を避けるための初心者コースを選んだりすることも可能です。ベンチやトイレ、景色の良い休憩所が整備されており、家族連れにも適しています。

日の出山コース(往復2時間)

標高902メートルの日の出山は、このエリア屈指のパノラマビューを誇ります。東京スカイツリーから丹沢山塊まで一望できます。御岳ビジターセンターからは木陰の多い森林道を通り山頂を目指します。このルートはツツジやシャクナゲで知られ、周辺の山々が雪化粧をする冬は特に美しい景色が楽しめます。帰りは来た道を戻るか、日の出町のつるつる温泉へ下山してハイキングを締めくくるのもおすすめです。

大塚山コース(往復1時間)

軽い散策を楽しみたいなら大塚山コースが最適です。混交林の中を歩く平坦な道は、ピクニックや森林浴にぴったりです。春にはツツジのトンネルができ、秋には黄金色やオレンジ色の落ち葉がトレイルを覆います。

大岳山コース(往復5時間)

ベテランハイカーには、大岳山(1,266m)への本格的な登山ルートがおすすめです。岩場や鎖場、深い森の道を含む険しいコースですが、晴れた日の山頂からは富士山を望むことができます。「奥多摩三山」の一つに数えられ、挑戦しがいのあるルートです。

sansai soba

ランチ:山の幸でエネルギー補給

ランチには神社近くの集落へ戻りましょう。家族経営の宿坊やレストランでは、「山菜そば」や、地元の名物である「とろろご飯」などの滋味豊かな料理が味わえます。

特におすすめなのは、テラス席からの眺望が素晴らしい「紅葉屋」です。特製のくるみだれでいただく蕎麦やうどん、山菜の天ぷら、具だくさんの汁物などが評判です。

夕方:森林浴と下山

下山する前に、神社近くの参道に並ぶ巨大な杉の木の間を最後にもう一度ゆっくり歩いてみてください。晩秋に訪れるなら、エリア全体が鮮やかな赤や黄金色の紅葉に包まれます(例年11月中旬から下旬が見頃です)。

太陽が傾き始めたら、ケーブルカーで下りて御嶽駅へ向かいましょう。東京への帰路はスムーズですが、どこか遠い場所へ行ってきたかのような深い充足感に包まれるはずです。

東京から御岳山へのアクセス

  • 電車:新宿駅からJR中央線で青梅駅へ(約75分)。JR青梅線に乗り換えて御嶽駅まで(約20分)。
  • 御嶽駅から:バス(10分)またはタクシーでケーブルカー山麓駅(滝本)へ向かいます。