床から天井まで広がるガラス窓、シャープでミニマルなライン、洗練されたカラーパレット、センス溢れるアートコレクションなど、現代的なラグジュアリーホテルや洗練されたデザインホテルは、その緻密な美しさで私たちを魅了します。しかし一方で、まるで時が止まったかのようなホテルに足を踏み入れる瞬間には、他では味わえない独特の胸の高鳴りがあります。重厚なマホガニーの木目、宝石のように深みのある織物、そして現代の基準から見れば過剰とも思える豪華絢爛さ——それらは私たちが往年の映画で目にしたような、独特の美学を湛えています。 

日本において、こうしたノスタルジックなもてなしの空間は大きくいくつかのカテゴリーに分かれます。地元の人々の間で最も尊ばれているのは、明治後期から昭和初期(19世紀末から1940年代以前)にかけて建てられた「クラシックホテル」です。ヨーロッパの影響を強く受けたこれらの壮大な建造物は、かつて外交官や海外の王公貴族を迎えるために建てられたものが多く、西洋のラグジュアリーと日本の伝統的な意匠が見事に融合しています。 

もう一つの、まだ十分に掘り下げられていない魅力的なカテゴリーが、戦後のレジャーブーム期(1960年代〜1980年代後半)に誕生したホテル群です。国内旅行の需要が急増する中、ディベロッパーたちは特に熱海のような沿岸の海辺のリゾート地に、大胆で劇的な意匠を凝らした大規模ホテルを次々と建設しました。絨毯敷きの壮大なロビー、カクテルラウンジ、マキシマリズム溢れる大浴場など、当時の煌びやかな面影を残す宝物のようなホテルが、今なお日本全国の至る所に残されています。 

今回は、日本全国から編集部が厳選したおすすめのレトロホテルをご紹介します。それぞれの歴史と、唯一無二の魅力をご堪能ください。 

ホテルニューアカオ(静岡)

東京駅から電車でわずか1時間ほどの場所に位置するヴィンテージな海辺の温泉街・熱海。その断崖絶壁にドラマチックに佇む「ホテルニューアカオ」は、まさに昭和のレゾートカルチャーを象徴するアイコンです。1973年に開業し、半世紀近く愛されたのち2021年に一度閉館しましたが、2023年に新たなオーナーのもとで営業を再開。今も夜になると、有名な赤いカタカナのネオン看板がミステリアスな光を放っています。 

建物の構造はユニークな階層逆転となっており、17階の壮大なロビーから入場し、エレベーターで下りて波が打ち寄せる真上に突き出た客室へと向かいます。館内には、赤いベルベットの絨毯と豪華なシャンデリアに包まれた扇型の巨大メインダイニングがあり、大海原を眺めながら新鮮な海の幸を味わうことができます。曲がりくねった螺旋階段、豪華絢爛なダンスホール、そして湯船がそのまま太平洋へと続いていくかのようなインフィニティ露天風呂など、ニューアカオはどこを切り取っても圧巻の視覚的スペクタクルに溢れています。 

アクセス:東京駅から東海道新幹線でJR熱海駅まで(約45〜50分)。熱海駅より無料送迎バスが定期運行(所要時間約10分)。

ハトヤホテル(静岡)

熱海から少し南下した静かな海岸沿いの街・伊東にある「ハトヤホテル」は、1970年代のファミリー旅行におけるポップで未来志向のワクワク感をそのまま形にしたようなホテルです。何世代もの日本人がキャッチーなテレビCMのフレーズを歌いながら育ち、ホテル側もその魔法のような世界観を大切に守り続けています。 

敷地内を歩くと、まるでSF映画のセットを探索しているかのような感覚に陥ります。最も象徴的なのは、丸みを帯びた天井と宇宙船のような楕円形の窓を備えた、オレンジ色の光に包まれた空中通路です。さらに、蛍光灯が光るレトロなゲームコーナー、どこまでも続く赤い絨毯の廊下、情緒あふれるラウンジバー、そして夜食のラーメンまで揃っています。

アクセス:東京駅からJR東海道線・伊東線、または特急「踊り子」でJR伊東駅へ(約1時間40分)。JR伊東駅より無料送迎バスが運行(所要時間約5分)。

リーガロイヤルホテル(大阪) 

長年にわたり「大阪の迎賓館」として親しまれてきた大阪市内の「リーガロイヤルホテル」は、ミッドセンチュリー・モダンデザインに洗練された気品をもたらしています。1935年に開業した同ホレットの壮大なパブリックスペースは、日本の伝統的な自然美とモダンなレイアウトを見事に融合させた高名な建築家たちの手によって形作られました。 

最大のハイライトは、床から天井まで広がる巨大なガラス窓越しに2段の滝が流れ落ちる日本庭園を望むメインラウンジです。店内には金箔が施された柱や、浮雲を思わせるクリスタルシャンデリアが輝き、深いベルベットのチェアが見下ろします。その空間はまさに幻想的で、70年代の『Architectural Digest』誌グラビアから抜け出してきたかのようです。また、イギリスの陶芸家バーナード・リーチの助言のもとデザインされた、1階の歴史あるリーチバーも見逃せないスポットです。 

アクセス:京阪中之島線「中之島駅」直結。新大阪駅からはJR線で大阪駅へ(5分)、JR大阪駅より無料桜送迎バスが定期運行(6〜15分間隔、所要時間約10分)。

ホテル川久(和歌山) 

大阪の南に位置する人気のビーチ&温泉リゾート・白浜にある「ホテル川久」は、1980年代後半のバブル経済期における豪奢の極みを現代に伝える伝説的な建造物です。水際にそびえ立つ外観は、まるでポルトガルの古代要塞と映画『リトル・マーメイド』に登場するエリック王子の城が融合したかのようなシュールな美しさを誇ります。1991年に再建された際、世界中から一流の職人が集められました。たとえば屋根を覆う47万枚の黄色い施釉瓦は、かつて北京の紫禁城でのみ使用が許されていた最高級の瓦です。

エントランスに一歩足を踏み入れると、22.5カラットの金箔が隙間なく敷き詰められたアーチ天井(「世界最大の金箔天井」としてギネス世界記録に認定)と、鮮やかなブルーの偽石の柱が並ぶ大ロビーが広がります。現在は全室が湾を望むオールスイートリゾートとして営業しているほか、館内は「川久ミュージアム」としても機能しており、世界中の工芸品、彫刻、ファインアートの非非日常的なコレクションを鑑賞できる「生きた美術館」としても楽しめます。 

アクセス:新大阪駅からJRくろしお特急でJR白浜駅へ(約2時間15分)。白浜駅よりタクシーで約10分、または路線バスで「崎の湯」または「川久前」下車(約15分)。

雲仙観光ホテル(長崎) 

1900年代初頭、避暑と温泉を求めて外国人旅行者たちがこぞって訪れたのが雲仙温泉でした。九州・長崎の山深き地に位置する「雲仙観光ホテル」は、そうした外国人ゲストを歓待するために1935年に創業しました。霧に包まれた日本の深い森の中に突如現れる壮大なスイス・シャレー(山小屋)風の建築は、開業以来、雲仙を象徴する風景となっています。 

館内は、手彫りの木製階段の手すり、石造りの暖炉、ウィリアム・モリスのクラシカルな花柄壁紙に包まれた客室など、ぬくもりに満ちた上質なマウンテンロッジの風情が漂います。板張りの図書室で1,500冊を超えるヴィンテージ本をめくったり、ビリヤードを楽しんだり、ステンドグラスやアール・デコ調のタイルで装飾された温泉で寛ぐ、極上の午後を過ごすことができます。 

アクセス:長崎空港または西九州新幹線でJR諫早駅へ。JR諫早駅より島鉄バス(雲仙温泉行き)で「雲仙バスバスターミナル」下車(約80分、徒歩3分)。山間の立地のため、お車を利用されない場合は諫早駅からの路線バスまたはタクシーのご利用が必要です。

蒲郡クラシックホテル(愛知) 

愛知県の三河湾を見下ろす緑豊かな丘の上に佇む「蒲郡クラシックホテル」は、1930年代に流行した帝冠様式建築の贅沢な名品です。伝統的な日本の城郭屋根と、堅牢な西洋風コンクリート構造を融合させたこの独創的な様式は、当時訪れた外国人旅行者を大いに驚かせました。 

1934年に建てられたこのホテルは、戦前の本物のエレガンスとアール・デコ調の内装を今に留めています。手彫りの木製装飾、漆喰の天井意匠、アンティークな真鍮製エレベーターのダイヤル指示器、階段に沿って設置された柔らかなパステルカラーのステンドグラスなどが見どころです。川端康成や谷崎潤一郎といった日本を代表する文豪たちも執筆のためにここに身を寄せました。今日でも、当時と同じ美しいラウンジでケーキを味わいながら、三河湾と沖合に浮かぶ神社を戴く小さな島・竹島を一望することができます。 

アクセス:東京駅または大阪駅から新幹線でJR名古屋駅へ、JR東海道線に乗り換えてJR蒲郡駅下車(名古屋駅から約40分)。蒲郡駅南口よりタクシーで約5分、または坂道を登る徒歩約15分。

ホテルニューグランド(神奈川) 

日本で最も有名なレトロホテルの一つである「ホテルニューグランド」は、説明の必要すらないかもしれません。横浜のウォーターフロントに位置するこのホテルは、日本の戦前におけるクラシックなラグジュアリーの佇まいを今に伝えています。1927年、客船でやってくる外国人旅行者を迎えるために開業した本館の建物は、ヨーロッパのエレガンスと日本の高い職人技が融合した逸品です。 

大階段のロイヤルブルーの絨毯を登ると、ダークマホガニーの木枠、手彫りの家具、そして鳳凰のモチーフに彩られた開放的な本館ロビーが広がります。何十年もの間に、チャーリー・チャップリン、ベーブ・ルース、ダグラス・マッカーサー元帥といった歴史的人物たちがここに滞在しました。そして私たちが最も愛するディテールは、このホテルが日本で最も愛されている洋食メニューの一つ「スパゲッティナポリタン」の発祥地であるということです。

アクセス:横浜駅からみなとみらい線で「元町・中華街駅」へ(約8分)。1番出口を出て目の前がホテルです。都心からの総所要時間はわずか40〜50分ほどです。

東光園(鳥取) 

ブルータリズムの巨石建築のようであり、同時に古代の神社をも思わせる「東光園」は、1952年に鳥取県の海辺の温泉街・皆生温泉に建てられました。最も象徴的な本館は、1964年に鬼才建築家・菊竹清訓によって設計されたもので、建造物を生き物のように捉える戦後日本の建築運動「メタボリズム」の傑作として高く評価されています。本館は国の登録有形文化財にも指定されています。 

エントランスで異彩を放つのは、伝統的な鳥居の構造を想起させる6本の巨大なコンクリートの柱組です。内部に入ると、朝の光が柱の落とす重厚な影を映し出す、開放的なガラス張りのロビーが広がります。床には目にも鮮やかなラベンダー色の絨毯が敷き詰められ、卵型の編み込みチェアが整然と並び、上質なステージを作り出しています。温かみのある木使い、和室の畳、そして美しい日本庭園が、コンクリートの力強いフレームや未来志向のデザインと調和し、素材の質感の魅力的な対話を奏でています。 

※2026年現在、東光園は改修工事のため休館中です。再開の報を楽しみに待ちましょう! 

アクセス:米子鬼太郎空港を利用するか、JR伯備線(特急やくも)でJR米子駅へ(大阪から約3時間半)。米子駅より路線バスで皆生温泉へ(約20分、バス停より徒歩3分)。


この記事は、Eugenie Shinによる英語の原文を翻訳・編集したものです。