崎県の北西端、熊本県と大分県との県境に位置する高千穂町。年間100万人の日本人観光客が訪れる人気スポットでありながら、海外からの旅行者にはまだそれほど知られていない穴場です。ダイナミックな峡谷を擁し、どこを切り取っても絵画のような美しさを誇るこの町には、穏やかなエネルギーと神聖な歴史が満ちあふれています。

地上にはびこる争いに心を痛めた太陽の女神・アマテラスは、平和をもたらし、稲を植えるために、孫のニニギノミコトを天上から地上へと遣わしました。彼が降り立ったとされる場所が、霧に包まれた 高千穂峡 です。もし、あなたの滞在中にいくつかの幸運な条件が重なれば、神話の時代と変わらぬその神秘的な光景を目の当たりにできるかもしれません。 

雲海

「雲海」として知られるこの現象は、9月中旬から11月下旬にかけて、一日の最低気温と最高気温の差が大きい日にのみ発生します。さらに、夜明け前に国見ケ丘の展望台まで足を運ぶ必要があります。しかし、この世のものとは思えないほど幻想的な景色に出会えたなら、早起きをして訪れた自分に感謝することでしょう。

天上の岩の洞窟を意味する名を持つ 天岩戸神社 は、アマテラスを祀る神社です。ここは、弟のスサノオとのいさかいの末にアマテラスが身を隠し、この世から光を奪ったとされる洞窟の近くに位置しています。

天岩戸神社

スサノオが地上と天界の双方を荒らしたことに深く悲しんだアマテラスでしたが、祝祭を司る女神・アメノウズメが、あまりにも滑稽で愉快な踊りを披露したため、ついにその隠れ家から姿を現しました。その後、アマテラスとスサノオが和解したことで、地上には再び太陽の光が戻ったのです。

11月から2月にかけて、天岩戸神社では「夜神楽」と呼ばれる神聖な徹夜の奉納舞が行われ、これら有名な神話の物語が再現されます。アメノウズメが太陽を呼び戻した伝説の舞をはじめ、合計33柱の神々に扮した舞が披露されます。夜神楽は宮崎県全域で行われていますが、なかでも高千穂、特に天岩戸神社の神楽は、元の伝説と最も深い関わりを持っています。   

夜神楽のシーズンに合わせて訪れることで、この魅力的な地域でより豊かな文化的体験を味わうことができます。もちろん、高千穂は年間を通じていつ訪れても発見に満ちた場所です。

高千穂の棚田

高千穂あまてらす鉄道は、地域の景観を楽しむのに最適なアクティビティです。旧高千穂鉄道の線路跡を走る約5キロのルートでは、エリアを象徴する名所を巡ることができ、子どもから大人まで年齢を問わず楽しめます。

高千穂をドライブすれば、情緒あふれる棚田の景色が広がります。これらは、全長500キロメートルに及ぶ水路網と、1,800ヘクタールを超える水田から構成されています。

棚田の耕作は、持続可能な土地管理のために現在進められている多くのエコロジカルな取り組みの一つです。他にも、お茶や椎茸の栽培における特殊な技法などが含まれます。こうした努力が評価され、高千穂郷・椎葉山地域は国連が認定する世界農業遺産(GIAHS)に登録されています。


Photographs by Solveig Boergen

 

この記事は、Kimberly Hughesによる英語の原文を翻訳・編集したものです。