世界最大の渦潮として知られる「鳴門の渦潮」。セルリアンブルーの海水とアイボリーの白波が描き出す魅惑的なコントラストは、淡路島が秘める多彩な美しさの、ほんの序章に過ぎません。瀬戸内海に浮かぶ兵庫県・淡路島は、関西地方でも指折りの風光明媚なリゾート地です。四季折々の花々が咲き誇る広大な花畑、穏やかなビーチ、極上の温泉リゾート、そして何より食通を唸らせる美食の数々が、訪れる人々を魅了して止みません。
また、日本屈指の玉ねぎの産地としてもその名を轟かせており、驚くほど甘く香り高いその品質から、親しみを込めて「玉ねぎの島」とも呼ばれています。
エデンの園を彷彿とさせる休暇先としての魅力の裏には、豊かな歴史文化とダイナミックな芸術シーンが息づいています。
日本最古の歴史書『古事記』の「国生み神話」によれば、この海辺のオアシスこそが、日本で最初に誕生した島とされています。混沌の中から現れた男神イザナギと女神イザナミが、天の沼矛(あめのぬぼこ)で渾沌とした海原をかき混ぜ、滴り落ちた雫がこの島を形作ったと言い伝えられているのです。
今日、島に点在する神話ゆかりの聖地は、現代建築の手法と見事な対比を見せています。建築家・安藤忠雄氏による幾何学的なフォルムが特徴的な建築群は、美の探究者はもちろん、写真家にとっても夢のような光景を約束してくれます。
本福寺 水御堂
本福寺の本堂(水御堂)は、日本にある他のどの仏教寺院とも似ていません。そこにあるのは荘厳な大屋根ではなく、天空の揺らぎと周囲の緑を静かに映し出す、巨大な楕円形の蓮池です。
「水御堂」の名で親しまれるこの霊的な建築は、1991年に安藤忠雄氏によって再構築されました。参拝者を祭壇へ向かって「上らせる」のではなく、安藤氏が構想したのは、ドラマチックな「下降」の体験でした。静水面を切り裂くように伸びる、影を湛えた階段。それが、あなたを寺院の深部へと誘います。
外側のエントランスは純粋でミニマルな構成となっており、白い砂利道と緩やかにカーブするコンクリート壁が、日常から精神世界への繊細な移行を象徴しています。内部には鮮やかな朱色の格子状の回廊が待ち受けており、本福寺の主祭壇へと続いています。真言宗御室派の特本山であるこの寺院には、癒しの仏である薬師如来が祀られています。午後に訪れると、太陽の光が堂内を深紅の輝きで包み込み、最も幻想的な光景を目にすることができます。

淡路夢舞台
今では想像もつきませんが、この緑豊かな広大な複合施設はかつて、関西国際空港建設のための大規模な土砂採取によって剥き出しになった荒地でした。安藤忠雄氏はこの場所を完全に蘇らせ、現代建築の力で淡路島の風景美をさらに高めることに心血を注ぎました。静謐な庭園、国際会議場、チャペル、そして野外劇場。そこには、人間と自然が真に共生できる場所が設計されたのです。
その名の通り「夢の舞台」を意味する淡路夢舞台は、安藤氏特有の優美な輪郭と情緒的なミニマリズムを体現しており、島の穏やかな自然美と見事に調和しています。滑らかなコンクリートの質感と緻密な幾何学形態が、刻一刻と変化する光と影の陰影を描き出し、写真家にとっても、あるいは静かに思索に耽りたい人にとっても、無限のインスピレーションを与えてくれます。
百段苑
夢舞台を一日中歩き回ることもできますが、必見のスポットは「百段苑」です。ここは1995年の阪神・淡路大震災の犠牲者への追悼として作られました。斜面に位置するこのユニークな景観は、100個の正方形の花壇が階段状に配置されており、まるでM.C.エッシャーの騙し絵のような不思議なグリッド構造を成しています。

それぞれの区画には、季節の花々で彩られた対称的な花壇があります。安藤氏らしい手法で、庭園の鮮やかな生命力を厳格な精密さで縁取ることで、自然と人工が融合されています。生きた芸術作品としての百段苑は、畏敬の念と静かな思索を呼び起こします。
円形フォーラムと楕円フォーラム
すぐ近くには、夢舞台の核をなす「円形フォーラム」と「楕円フォーラム」が鎮座しています。その名の通り、打ち放しコンクリートで構成されたこれら2つの屋外空間は、まるで古代のスタジアムや円形劇場のようです。底に立てば、頭上にはコンクリートによって鮮やかに切り取られた、円盤状の空が広がります。
円形フォーラムの壁面には幾重ものスロープが巡らされており、昇り降りするたびに刻々と変化する視点から空間を体験できます。その頂上は、夢舞台全体を一望できる展望エリアとなっています。一方の楕円フォーラムは、より高く堂々とした曲線美を誇る壁が特徴で、そこに配された非対称の日時計が、空間に知的なアクセントを添えています。

写真提供:禅坊 靖寧
禅坊 靖寧
淡路島の芸術的・精神的風景を彩るプリツカー賞建築家は、安藤忠雄氏だけではありません。島の中央に位置する、息をのむようなウェルネス施設「禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)」を手掛けた先見者、坂茂氏の存在も忘れてはなりません。
2022年春にオープンしたこのリトリート施設は、国産の杉を贅沢に使用し、鮮やかな緑の森の上にふわりと浮かぶ細長いツリーハウスのような佇まいを見せています。最大の特徴は、全長100メートルに及ぶ圧巻のウッドデッキ。ここでは、澄み渡る空気を胸いっぱいに吸い込みながら、座禅やヨガに没頭し、身体を整えるオリジナルヴィーガン料理を堪能できます。
宿泊プランも用意されており、ガイド付きの瞑想や書道、茶道といった多彩なアクティビティを通じて、心身を解きほぐす至福のひとときを過ごすことができます。
詳細情報
淡路島についての詳細は、公式ウェブサイトをご覧ください。