東京の夏の暑さがアスファルトから照りつける中、自然の中への逃避ほど心を癒やしてくれるものはありません。東京都あきる野市の緑豊かな丘陵地に位置する秋川渓谷は、都心からすぐの場所にありながら、まるで別世界のような爽やかなリバーサイドの休息を提供してくれます。
秋川渓谷は、その名の通り秋の紅葉も素晴らしいですが、夏に訪れる涼しく爽やかな清流もまた格別です。極上のかき氷を求める旅、川沿いのハイキング、あるいは冷たい水への水浴びなど、秋川渓谷は心身をリセットするのに最適な日帰り旅行先です。
ここでは、このエリアでの一日の過ごし方をご紹介します。

黒茶屋:築300年の古民家で味わう至福のひととき
秋川の穏やかな風景の中に佇む「黒茶屋」は、築300年の風情ある建物を利用した有名なレストランです。3,300坪を超える広大な敷地には、豊かな森や手入れの行き届いた遊歩道、茶房、多くの休憩所が点在しています。錦鯉が泳ぐ池や、秋川を見下ろす木造のテラスも見どころです。
暖かい季節の目玉は、庭園の一角にある季節限定のかき氷店「楽庵」です。冬の間に深い地中から汲み上げた清らかな湧水をゆっくりと凍らせた天然氷を使用しています。氷は雪のようにふわふわとした食感に削られ、レストランの料理人が手作りしたシロップがたっぷりとかけられます。夏には、本物の果実と練乳を使った「いちごミルク」と、甘いあずきと濃厚な抹茶シロップの「あずき抹茶ミルク」の2つの味が楽しめます。
川を見下ろすオープンテラスでかき氷を楽しんだ後は、庭園の小道を下って川べりまで行き、足を浸したり泳いだりして涼むことができます。
黒茶屋には、本格的な懐石料理のレストランのほか、地元の工芸品や特産品が並ぶお土産処もあります。また、伝統的な「おやき」の屋台もあり、そば粉の生地で甘いあんこやネギ味噌を包んだ素朴な味を楽しめます。週末は混雑することもありますが、黒茶屋を訪れるだけでも秋川への旅の価値は十分にあります。

秋川渓谷を散策する
黒茶屋の先にも、秋川渓谷には豊かな自然と文化遺産を感じられるスポットが数多くあります。
観光客に人気のスポットは「石舟橋」です。秋川に架かる全長96メートルの印象的な吊り橋で、周囲の森や山々が赤や黄金色に染まる秋の景色は特に絶景です。
この橋は「秋川渓谷 瀬音の湯」への入り口でもあります。周囲の緑を望める内風呂や露天風呂を備えた温泉施設で、無料の足湯も楽しめます。
歴史と静寂を求めるなら、1373年創建の「広徳寺」へ。茅葺き屋根の本堂や巨大な銀杏の木が立ち並ぶ境内は、特に黄金色の落ち葉が敷き詰められる秋には、時が止まったかのような雰囲気に包まれます。
さらに足を伸ばすと、落差30メートルの「大滝」があります。苔むした岩を流れ落ちる水が涼しげな滝壺へと注ぎます。大岳山へのハイキングコースの起点付近には、天然記念物に指定されている「大岳鍾乳洞」もあります。全長300メートルの洞窟内には幻想的な岩の造形が広がり、地域の地質学的な歴史を垣間見ることができます。

秋川渓谷へのアクセス
秋川渓谷は、都心からのアクセスが驚くほど簡単です。新宿駅からJR中央線で拝島駅へ行き、そこからJR五日市線に乗り換えて武蔵五日市駅まで向かいます。駅から各スポットへは、西東京バスが運行しており、瀬音の湯や黒茶屋までは10〜15分ほどで到着します。新宿からの所要時間は、乗り継ぎにもよりますが約90分から2時間ほどです。
なお、都心に比べてバスや電車の本数が少ないため、事前に時刻表を確認しておくことをおすすめします。