数々の賞に輝いた武士アクションアドベンチャー『Ghost of Tsushima』の待望の続編、『Ghost of Yotei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』(正式表記は Ghost of Yōtei)は、過酷ながらも深く感情を揺さぶるストーリーを、息をのむ絶景とともに描き出す圧倒的な人間ドラマです。

封建時代の蝦夷(現在の北海道)の山々を舞台にした本作は、放浪の傭兵「篤(あつ)」の足跡を辿ります。彼女の目的は「羊蹄六人衆」の追跡。冷酷な宿敵・斎藤が率いるこの仮面の無法者集団は、彼女が幼い頃に家族全員を惨殺し、彼女を死の淵に置き去りにしました。篤の心に深く刻まれた怒りと恨みは、羊蹄六人衆の抹殺を人生唯一の目的に変え、彼女を復讐に燃える怨霊へと変貌させました。

前作同様、『Ghost of Yotei』のトーンやシネマトグラフィは、伝説の監督・黒澤明による武士映画など、日本の古典的な時代劇から大きな影響を受けています。両作品ともに、画面を白黒に変更して没入感を高める「黒澤モード」を搭載。さらに本作では、渡辺信一郎(『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』)や三池崇史(『十三人の刺客』)にインスパイアされたフィルターも用意されています。

しかし、映画的なフレーミング以上に印象的なのが、ゲームプレイにおける自然との深い繋がりです。緻密にデザインされた環境は、視覚的な楽しみであるだけでなく、作品のアイデンティティと物語の根幹を成しています。

今回、ソニー・インタラクティブエンタテインメントおよび『Ghost of Yotei』開発チームに、城郭から自然保護区、そしてタイトルにもなっている羊蹄山まで、制作のヒントとなったランドマークについて話を聞きました。これらは完全な再現を意図したものではありませんが、ゲームのマップや世界観を構成する重要なピースとなっています。(※一部ネタバレを含みます)

ゲーム画面(上)と羊蹄山(下) | 画像編集:Aya Sato

羊蹄山

篤の復讐の旅を静かに見守る、常にそこにある神々しい王冠。羊蹄山は、北海道の支笏洞爺国立公園に実在する成層火山です。

北海道の先住民族であるアイヌは、ゲーム内の「名寄ヶ沢」エリアなどでたびたび登場します。アイヌから羊蹄山は「マツネシリ(女の山)」と呼ばれ、女性的なエネルギーと不屈の力が宿る聖地として崇められています。篤の足跡を辿る中、羊蹄山は女の一匹狼である彼女の象徴となります。また、山麓にあるかつての我が家を思い起こさせる、逃れられない記憶の象徴でもあります。羊蹄山は彼女の母なる大地であり、彼女が挑む過酷な使命を体現しています。

ゲーム画面より

夏には、羊蹄山を囲む野原に80種以上の高山植物や花々が咲き乱れます。これはゲーム内の多様な植生にも反映されています。開発チームはインスピレーションを得るために、同じ国立公園内にある美しいカルデラ湖、洞爺湖を訪れました。その湖畔で、羊蹄山の圧倒的なスケールを肌で感じたといいます。

ゲーム画面(上)と松前城(下) | 画像編集:Aya Sato

松前城

17世紀初頭から北海道の多くを統治した松前氏は、本作の物語において極めて重要な役割を担っています。宿敵・斎藤がもたらす「混沌と暴政」に対し、松前氏は対照的な「秩序」の象徴として描かれます。

物語の中盤、篤は衝撃的な事実に直面します。死んだと思っていた兄・十兵衛が生きていたのです。あの家族が惨殺された運命の夜、彼は松前氏の侍に救われ、一族の戦士として育てられていました。

松前氏の忠実な戦士として仕える十兵衛の存在は、幼少期のトラウマに複雑な影を落とします。氏族への忠誠心が篤の復讐計画を妨げる時、二人の間に緊張が走ります。

任務「嵐の残響」において、一族の拠点である松前城は、繊細なピンクの花びらを湛えた桜の木々に美しく彩られます。これは、通常の武骨な地形とは一線を画す視覚的な演出です。

実在の松前城は今もその姿を残しています。江戸時代末期の1854年に松前崇広によって築城され、1961年には火災で焼失した天守閣が再建されました。現在も桜の名所として知られ、公園内には250種、1万本以上の桜が植えられています。

開発者は城と松前氏の墓所の両方を訪れ、歴史的な着想を得て、建物を可能な限り正確に再現しました。

ゲーム画面(上)と知床国立公園(下) | 画像編集:Aya Sato

知床国立公園

アイヌ語の「シリエトク(地の果て)」を語源とする知床国立公園は、北海道東部の知床半島先端に位置します。その切り立った崖の絶景は、ゲーム内で登攀可能な山脈のヒントとなりました。また、公園内に生息する豊かな野生動物も、マップ中に登場する多様な生物たちに投影されています。

約7万1,000ヘクタールに及ぶ広大な公園はユネスコ世界自然遺産に登録されており、世界で最も豊かな複合生態系の一つとして知られています。

この地にはキタキツネやヒグマなど多くの哺乳類が生息しており、それらはゲーム内にも登場します。知床には推定400頭のエゾヒグマが生息しており、世界で最もヒグマの生息密度が高い場所の一つです。ゲーム内でも、ヒグマは時として人間を襲う非常に危険な存在として描かれています。

ゲーム画面(上)と登別地獄谷(下) | 画像編集:Aya Sato

登別地獄谷

北海道南西部に位置する地獄谷は、「怨霊の狩り締め」チャプターにおいて、古賀砦を包む険しい地形と霧深い雰囲気の着想源となりました。

その名の通り、地獄谷は荒々しいエネルギーを湛えています。観光協会が「地球が生きている証」と称するように、谷底からは1日1万トン以上の温泉が湧き出し、黄灰色の硫黄の丘のすぐ下では熱湯が煮えたぎっています。激しく噴き出す白煙と不気味な音は、平穏と残酷のバランスに焦点を当てた本作の世界観と共鳴しています。

また、地元の「鬼」にまつわる伝承もゲームのデザインに影響を与えました。伝説では、かつてこの地に住み人々を苦しめた悪鬼たちが、蝦夷の神々の罰として湯の守り人として働くことになったといいます。夏には「鬼花火」が開催され、鬼たちが不幸を焼き尽くすために手筒花火を打ち上げます。

ゲーム画面(上)と石狩川(下) | 画像編集:Aya Sato

石狩平野

北海道西部の石狩平野と、日本で3番目に長い石狩川も、本作の舞台となりました。「石狩」という名もアイヌ文化に由来し、「イシカリベツ(激しく曲がりくねった川)」を意味します。これは篤が旅する長く緩やかな水の流れをよく表しています。

平野は、復讐相手の一人である「鬼」を篤が追う際の主要な舞台として登場します。

ゲーム画面(上)とスタジオセディック(下) | 画像編集:Aya Sato

スタジオセディック庄内オープンセット

北海道外のロケーションですが、山形県にある「スタジオセディック庄内オープンセット」はセットデザインのインスピレーションとなりました。

ここは多くの映画やドラマが撮影される日本最大級の映画セットで、一般公開もされています。88ヘクタールにおよぶ広大な敷地は、戦国時代から江戸時代初期にかけての伝統的な農村を再現しており、まさに本作の時代設定と合致しています。

大砲を備えた物見櫓がある城門や、伝統的な茅葺き屋根の民家など、歴史的なコミュニティを再構築するためのヒントがここにありました。

ゲーム画面(上)と大内宿(下) | 画像編集:Aya Sato

大内宿

福島県の「大内宿」も、開発チームを過去への旅へと誘った重要な参照ポイントです。かつて宿場町として栄えたこの場所は、茅、藁、竹で作られた茅葺き屋根の民家が大切に保存されていることで有名です。

国重要伝統的建造物群保存地区である大内宿は、江戸時代の日常生活を今に伝えています。囲炉裏などのディテールは、ゲーム内の生活空間にリアリティを与えました。北国特有の建築様式は、本作の視覚的なアイデンティティを形作る上で欠かせないものでした。

ゲーム画面(上)と白金青い池(下) | 画像編集:Aya Sato

白金青い池と立石寺

篤が「九尾」を追って極寒の天塩山脈を越えるシーンでは、突き刺すような猛吹雪に遭遇します。この美しくも獰猛な雪景色は、北海道中部の美瑛町の空霊な冬景色から着想を得ています。また、有名な「白金青い池」の幻想的なコバルトブルーの水面も、ゲーム内の夢のようなシーンのヒントとなりました。

さらに、山形県の立石寺(山寺)も「九尾の隠れ家」のデザインに貢献しています。1,000段以上の石段を登る険しい道のりと、そこから見下ろす静寂な雪の谷や杉林の風景が反映されています。

ghost of yotei real life locations

ゲーム画面より

最後に、開発チームは栃木県の日光東照宮を訪れたと言います。ここは徳川家康を祀る豪華絢爛な神社です。チームはここで御祈禱に参加し、プロジェクトの成功と将軍の加護を祈願しました。

『Ghost of Yotei』は PlayStation®5 専用ソフトとして発売中。羊蹄六人眾を妖怪として再解釈したマルチプレイ拡張コンテンツ『Ghost of Yotei Legends(冥人奇譚)』も配信されています。

©2025 Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by Sucker Punch Productions. Ghost of Yōtei is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC.


この記事は、Aya Satoによる英語の原文を翻訳・編集したものです。