混雑する通勤電車、大人の責任、果てしなく遠のくハッスル・カルチャーのゴール、そして角を曲がるたびに飛び込んでくる悲重なニュース——人生は時として、モノトーンで単調な日常の繰り返しに感じられることがあります。何かに圧倒され、疲弊してしまうことが、いつの間にか私たちの「当たり前」になってはいないでしょうか。 

そんな混沌とした日々の最中、東京西部のおしゃれな街・吉祥寺に誕生した新しい複合施設が、思いがけない存在からの生き方の教訓を提案しています。その主役とは「マーモット」です。8月8日にグランドオープンを迎えた「MaMo Terrace(マモテラス)」は、カフェ、アートギャラリー、そして保護されたマーモットたちが暮らす観察スペースからなる3階建ての体験型施設。各フロアではそれぞれ異なるアプローチで心を解きほぐし、マーモット流のライフスタイルに浸りながら、静かに息を整え、「今、ここ」に立ち返ってただ何もしない贅沢な時間を過ごすことができます。

Photo by Katsuhiro Sato

マーモット哲学

マーモットは、「何もしない美徳」を気品と充足感とともに体現する癒やしの生き物です。「マーモット流ライフスタイル」を取り入れるということは、シンプルな選択を優先し、のんびりとした午後のひとときに喜びを見出すことを意味します。これは、リラックマやトトロ、あるいはぐでたまのように、日本で長年愛されてきたキャラクターたちの精神にも通じるものがあります。彼らは控えめでリラックスした生き方を提唱し、日常をむしばみがちな過酷な労働文化に対して、静かなアンチテーゼを唱えているのです。 

この哲学こそがMaMo Terraceの核となっています。ここでは、日常の絶え間ない要求をひとまず脇に置き、ただ「存在すること」そのものの静かな歓びを再発見するよう来館者を誘います。お店のコンセプトが掲げる「虚無癒やし」とは、存在の虚無感やニヒリズムを、肯定的な「今ここにある状態」へと再解釈する試みなのです。

MaMo TerraceのスタッフはTWの取材に対し、マーモットは基本的にお互いに争うことが少なく、調和して暮らすために協力し合い、歩み寄る習性があると語ってくれました。スタッフ自身もマーモットたちのお世話をする中でそのことに気づいたそうで、訪れる人々にもぜひこの平和なメッセージを持ち帰ってほしいと願っています。

MaMo Terraceという名前には、巧みなダブルミーニングが込められています。施設名はもちろん主役であるマーモットに由来していますが、同時に日本語の「まもる」という言葉にもかかっています。これはマーモットたちの保護・保全活動への敬意であると同時に、自分自身の心の平穏を「護る」ことへのメッセージでもあるのです。

MaMo Terraceの楽しみ方

マーモットたちが暮らす「マーモット村」は、これまでにも中野や大阪・守口市に誕生し、大きな話題を呼んできました。吉祥寺のMaMo Terraceは、同組織にとって3拠点目であり、3つのフロアを擁する過去最大規模の施設となります。1階のカフェと2階のアートギャラリーは誰でも自由に利用できますが、マーモットたちが暮らす3階の観察エリアへの入場には事前予約が必要です。 

マーモット村(3F)

3階は、本施設のアイデンティティである生き物たちを間近で観察できる専用スペースとなっています。このエリアは各回定員制となっており、静かで生き物たちに配慮した環境が保たれています。

動物と人間双方にとってカオスになりがちな都内の一般的なアニマルカフェとは異なり、ここでは生き物たちの健康と安全を最優先に考えており、来場者がマーモットに直接触れたり抱っこしたりすることはできません。生き物を見世物として扱うのではなく、マーモット特有の空気感を共有し受け入れることに主眼が置かれています。

画像提供:PR Times

ここに暮らす愛くるしいげっ歯類たちは、すべて繁殖施設などから保護された保護動物であり、組織の保全プロジェクトを通じて医療や適切なケアを受けています。村にはヒマラヤマーモットやアルプスマーモットに加え、名前は異なりますが同じマーモット属であるウッドチャックたちも暮らしています。彼らには、キャラメル、カステラ、みそ、そしてMaMo Terraceのオープニング週末にお誕生日を迎えるパンナなど、愛らしい名前が付けられています。 

一見するとみんな同じように見えますが、一匹一匹に個性があり、見ていて飽きることがありません。歩き方が少しトボトボとした「みたらし」、食いしん坊な「ビスケ」、運動神経抜群の「がんも」。取材時には、「エピ」と「シフォン」が回し車で走っていたところ、真ん中にスペースをあけて「ココア」を招き入れ、3匹で励まし合いながらジョギングを楽しむ微笑ましい姿を見せてくれました。

空き状況の確認や事前予約は、まも村の公式ウェブサイトから行えます。 

Art Lounge Tsubomi(2F)

2階の「Art Lounge Tsubomi」は、クリエイティブな思索に耽るための空間です。このギャラリーエリアでは、多彩なスタイルの作品を心ゆくまで鑑賞できます。展示されている絵画、イラスト、彫刻作品は、すべてマーモットからインスピレーションを受けたもの。アーティストごとに異なる「マーモット哲学」の解釈を鑑賞するのは非常に刺激的です。

ギャラリーでは展示作品のプリントやポストカードのほか、日常生活に「マーモット感」を添える様々なオリジナル雑貨も販売されています。 

MaMo Café(1F)

1階の「MaMo Café」は、コーヒーや軽食でエネルギーをチャージするのに最適なスポットです。店内は月や惑星のモチーフが灯るシックで少し宇宙的なファンタジー空間に仕上がっています。

おすすめメニューの「マモムライス」は、のんびりと寝そべるマーモットの姿をかたどったオムライスです。チキンライスの上にふわふわのオムレツがのり、プレートには上階のマーモットたちが大好きなサツマイモ、ニンジン、芽キャベツなどが添えられています。 

ドリンクメニューには、フルーツソーダにアイスクリームと星型のゼリーが浮かぶ「ギャラクシーソーダ」などが揃い、スイーツの看板メニューである「マモチプリン」は、マーモットたちのモチモチとした体と眠そうな表情を立体的に再現した愛らしい一品です。

また、1階にはオリジナルグッズやスーベニアを豊富に取り揃えたオフィシャルショップも併設。「何もしない」というマーモット哲学のメッセージを落とし込んだTシャツには、「虚無」や「拒否」といったユニークな文字がプリントされています。本物の生体には触れられないからこそ、リアルな抱き心地を妄想できるぬいぐるみやクッションも大人気です。

アクセス・営業時間

MaMo Terraceは、吉祥寺駅から徒歩約8分の場所に位置しています。

MaMo Café:10:00〜19:00
Art Lounge Tsubomi:10:00〜18:00
マーモット村(3F観察エリア):10:00〜18:00(※12:00〜13:00はマーモットたちの休憩時間のためクローズ)

店舗位置

 

この記事は、Aya Satoによる英語の原文を翻訳・編集したものです。