日本の神社や寺院を思い浮かべると、朱色の鳥居、苔むした石灯籠、時を経た木梁といった典型的な光景が浮かびます。しかし近年、日本各地で、新世代の神社や寺院が建てられています。世界的に著名な建築家による改修や、新たに建てられたものも含め、文化的な本質を保ちながら、現代的な素材や意外な形、ミニマルな感性を取り入れています。

瞑想的でありながら印象的、歴史に根ざしつつも未来志向。この記事では、日本各地のそうした場所を厳選して7カ所ご紹介します。

赤城神社(東京)

東京の洗練された神楽坂エリアに位置する赤城神社は、隈研吾の監修により2010年に全面的に再建されました。旧来の木造の殿を復元するのではなく、隈はそれをガラスで包まれた現代的なパビリオンとして再想像しました。壁はほとんどが透明で、境内の内部と外の樹木の両方が透けて見えます。暖かみのある檜の格子がガラスを縁取り、伝統的な屋根形状は折りたたまれた鋼板で再解釈されています。

夜になると、ガラスの殿内からの温かな光が建物を提灯のように照らし、石畳の道に柔らかく光を投げかけます。敷地内には現代的なマンションとスタイリッシュなカフェ(あかぎカフェ)もあり、日常と神聖が共存しています。

瑞松寺(東京)

東京・港区にある瑞松寺は禅寺で、こちらも隈研吾による変革を経ています。本堂が有形文化財に指定されているため、2018年のプロジェクトでは僧侶の居住空間の再建と、寺院が都市環境とどう結びつくかの再考に焦点が当てられました。

隈の設計は鉄と木を組み合わせ、反射する池を囲むU字型の回廊を生み出しました。中央には地域の集会やパフォーマンス、季節イベントに使える高床のプラットフォームがあります。もっとも特徴的なのは、鋭く傾斜した金属的な屋根の輪郭で、東京の空に対して清潔なシルエットを描き、庭の柔らかな美しさと対比を成しています。

武蔵野令和神社(埼玉県)

武蔵野令和神社は、正式名称 武蔵野坐令和神社を持つ、現代に造られた稀な神社の一例です。隈研吾が設計し、所沢の文化複合施設「所沢さくらタウン」の一部として建てられ、伝統的な神道とミニマルで現代的なデザインを融合させています。小さな赤い鳥居が本殿へと続く道に並び、稲荷神社を思わせます。夜には巨大な鳥居がネオンで光り、独特な現代的な風景を作り出します。

この神社は太陽の女神・天照大神と、嵐や海を司る弟・素戔嗚尊を祀っています。内部に入ると、『ファイナルファンタジー』や『バンパイアハンターD』で知られる天野喜孝による見事な天井画に迎えられます。

光林寺(愛媛県)

厳密な意味での本堂ではありませんが、今治市にある光林寺の新しい位牌堂(仏教の位牌を収める堂)は、奥野崇による設計で四国地域における現代仏教建築のもっとも印象的な例の一つです。伝統的な寺院群の中に堂々と立つ五階建ての建物は、何百もの檜の垂木で包まれ、畳まれた袴を想起させます。88枚のガラス窓は、禅の宇宙観と四国遍路のルートを象徴しています。

これらの窓は移ろう光を透過させ、「諸行無常」という仏教の概念を伝えます。参拝に訪れる人々にとって、内部は温かな木の空間へと広がります。最上階は全面がガラスで囲まれ、訪問者をやさしく周囲の森につなげます。

本福寺(兵庫県)

コンクリートを巧みに操る建築家、安藤忠雄の代表作とも言えるのが、淡路島にある本福寺(通称:水の寺)です。外側からはほとんど見えず、長く曲線を描くコンクリートの壁と、空を映す楕円形の蓮池だけが見えます。

聖域は上ではなく下にあります。参拝者は蓮池の中心を貫く階段を降り、曲がりくねった回廊を進むにつれて光が変わり、やがて円形の地下堂に出ます。そこではコンクリートが朱色の本殿から差し込む光に照らされます。この多感覚の体験は仏教における浄化と再生の概念をも想起させます。

足王社(白山神社、愛知県)

日進市に位置する足王社は白山神社の摂社で、足腰の神を祀ります。多くのサッカー選手が参拝に訪れることから「サッカーの神社」とも呼ばれています。建築事務所AUAUの設計によるこの構造物は、崇拝者と神との身体的な関係を再考しています。

祭壇へ直線的に進む伝統的な神社とは異なり、足王社は「巡る」体験として設計され、訪問者が聖なる林の中を彷徨い、ゆっくりと過ごすことを促します。細い木材を複雑に組み上げた格子状の構造は、日光を通し、風を通過させ、内部と周囲の森を溶け合わせます。

太宰府天満宮(福岡県)

太宰府天満宮は、日本でも有数の重要な神社の一つで、学問と文化の神である菅原道真の墓所の上に建てられています。本殿の改修工事が2026年まで続くため、仮の本殿が必要となり、藤本壮介が設計に招かれました。

今回の設えは、ミニマルな黒い構造体に、梅の木が植えられた楕円形の「森のような」屋根を載せたデザインが特徴です。これは、京都から一夜で太宰府へ飛んできたという伝説の飛梅にオマージュを捧げたものです。内部にはデザイナー Maiko Kurogouchi のウィメンズブランド Mame Kurogouchi が手がけるテキスタイルが用いられ、梅のモチーフや古来の染色技法を取り入れ、過去と現在をさらに織りなしています。