10年以上にわたり、竹内涼真は日本の観客を魅了し続けてきた。アクションヒーローからラブストーリーの主役、さらには裏社会で生きる男からラテンダンサーまで、多彩な役どころを軽やかに演じ分けるその裏側には、一つひとつの役に心血を注ぐ情熱がある。それは単なる器用さゆえではない。自らの限界に対する飽くなき好奇心こそが、彼を突き動かしているのだ。既存の枠組みに収まることを良しとせず、パブリックイメージを更新し、鮮やかに裏切り続ける本能こそが、彼のキャリアを形づくっている。
2013年、まだその名が全国に知れ渡る前、竹内は女性ファッション誌『mina』が主催する、男性専属モデルオーディションに出場した。2,457人の応募者の中から見事グランプリを勝ち取ると、わずか1年後には『仮面ライダードライブ』の主人公・泊進ノ介役に抜擢。日本が誇る伝説的なヒーローシリーズのバトンを受け継ぎ、子どもたちはもちろん、長年の特撮ファンをも虜にした。そして2017年までには、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』や、日本テレビ『過保護のカホコ』といった民放各局のゴールデンタイムの話題作にヒロインの相手役として出演し、ドラマ界のスターとしての地位を不動のものにした。
デビューから10年以上が経過した今、彼のキャリアを振り返ると、それは単なる「ヒット作の羅列」ではなく、着実に「表現の幅を広げてきた軌跡」であることに気づかされる。無限の適応力を持ちながら、どこか親しみやすさを感じさせる不思議な普遍性。日本のNetflixを開けば、鋭いフェイスラインと大きな瞳、そして力強さと温かさを湛えた彼特有の表情に出会うだろう。最近の出演2作品である、ヒューマンラブミステリー作品『再会~Silent Truth~』と、社交ダンスを情熱的に描いたNetflix映画『10DANCE』は、配信プラットフォームで国内トップ10にランクインをし、特に『10DANCE』は海外でもランク入りを果たすなど、その勢いは止まらない。
現在、干ばつに苦しむカンザス州で伝道師を装う詐欺師を描いたミュージカル『奇跡を呼ぶ男』の準備を進める竹内は、自らを見つめ直す地点に立っている。今回、TW(Tokyo Weekender)のインタビューで、彼は演技を「役のパフォーマンスと本物の自分自身を絶え間なく行き来すること」だと語った。彼にとって一つひとつの役は、どれだけ自分自身を作品に投影できるかを試す機会となっている。
自分自身を見つけること
俳優の道を歩む前、竹内は別の夢を追いかけていた。プロサッカー選手になることだ。日本屈指の名門クラブ、東京ヴェルディのユースチームに所属していた彼だったが、不慮の怪我によってその将来は断たれ、再考を余儀なくされる。「一度は進むべき道を見失いましたが、俳優として成功することを固く決意しました」――後に『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューで、彼はその時期を人生の大きな転機だったと振り返っている。
彼にとって、演じることは絶え間ない自己発見のプロセスそのものだ。新しい役柄に出会うことは、自分の中にまだ眠っている感情や本能と向き合う機会だと捉えている。彼はTWの取材に対し、「時には、新しい自分に出会えることを期待して、その役を演じることがあります」と語っている。
キャリアの初期には、自分自身と演じるキャラクターの間に明確な一線を引いていたという。当時は役に完全に入り込むというよりも、いかに説得力を持って演じきるかという点に比重を置いていた。しかし、その考え方は歳月とともに変化していく。「ここ数年は、いかに自分と役柄をリンクさせるかに集中しています」と彼は説明する。「そのギャップを、できるだけ小さくしたいんです」。そのために、彼はキャラクターの視点で日記をつけ、役の感情や動機を深く掘り下げるという。「オンとオフを切り替えてしまうと、役との繋がりが途切れてしまう。日常生活の中にキャラクターを溶け込ませることで、より自然にシーンに入ることができるんです」。
彼の芝居の核にあるのは、「真実」という一つの指針だ。「ある意味で、演技とは嘘をつくことでもあると思うんです」と彼は思索する。本質的には、自分ではない誰かになりすます行為だからだ。しかし、彼にとっての「真実」とは固定されたものではない。竹内は、そのキャラクターにとって何がリアルかを探求することで役に向き合う。「撮影中、自分の感情と身体を使い切って役を演じている間、私はその真実を生きているのだと信じています」と彼は言う。
言語としてのダンス
Netflix映画『10DANCE』において、竹内は自らの身体を通してその真実を見出した。本作は、過酷な競技会に向けて研鑽を積みながら、複雑に絡み合う感情を紐解いていくペアの社交ダンサーを描いた物語だ。彼が演じたのは、カリスマ的で官能的、時に奔放なプロのラテンダンサー・鈴木信也。自分とは対照的に洗練され、感情を内に秘めた同じ名前を持つライバル、杉木信也に、彼は抗いがたく惹かれていく。
準備期間中、彼はロサンゼルスで演技コーチとの集中セッションに臨み、技術と肉体的な存在感の両方を徹底的に磨き上げた。さらに、脚本には記されていない感情の機微を自ら書き出し、動きを通してどのようにそれらを表現できるかを突き詰めた。「台本に描かれていない行間を書き留めました。そうすることで、言葉ではなく音楽やダンスを通して、その感情を表現できるようになるからです」と彼は説明する。
その過程で、彼はダンスそのものが一つの「言語」として機能していることに気がついた。「かつて人々は、言葉を持たずとも踊り、祈りを捧げていました」と彼は洞察する。「ダンスは、時に言葉よりも雄弁に、そして素早く物事を伝えてくれるのです」。
身体表現は常に竹内の演技における重要な要素であったが、『10DANCE』ではそれが新たな次元へと引き上げられた。至近距離でパートナーと呼吸を合わせるペアワークには、極限の精度と直感が要求される。わずかな指先の仕草や、姿勢の微細な傾きだけで、欲望や緊張、高まる感情を伝える——。すべての動きが、彼自身の血肉を通った言葉となった。
「ダンスの経験がほとんどなかったので、自分がどこまでたどり着けるか想像もつきませんでした」と、彼は『ELLE』のインタビューで当時を振り返っている。「僕にできたのは、ただダンスの先生たちを信じて、毎日ひたすら練習に打ち込むことだけでした」。
ひとつの「チーム」として
4月、東京建物 Brillia HALLを皮切りに全国4都市で上演されるミュージカル『奇跡を呼ぶ男』。竹内が演じる役は伝道師を語る詐欺師。ある「真実の奇跡」を目の当たりにし、それまでの皮肉ともいえる価値観を揺さぶられる。これは極めてタフな役どころといえる。舞台では感情の昂ぶりを持続し観客とリアルタイムで向き合う必要がある。それゆえに、映像のときとは全く質の異なるスタミナが要求されるのだ。
また、竹内にとって舞台とは、映画やテレビ以上に「共同体」としての要素が強い場所でもある。「このプロセスのなかで最も純粋に楽しめるのは、カンパニーとしての連帯感です。全員の心と魂が一つになったかのような瞬間があり、それは舞台の上でしか決して味わえない体験ですから」。
舞台特有のプレッシャーに加え、本作には独自の文化的ハードルも存在する。ブロードウェイ作品の日本版として、そこに流れる宗教的テーマやトピックは、日本の観客には馴染みの薄いものかもしれない。しかし竹内にとって、それこそがこの作品の魅力であり、自らを試す絶好の機会でもあった。「音楽性ひとつとっても日本とは全く異なります。海外の宗教観や音楽スタイルを深く理解した上で、自分たちなりの解釈で再構築しなければならないんです」と彼は語る。
彼が演じる役は幾重にも層をなし、その真意は一筋縄ではいかない。「単に人を騙す男の物語だとは考えていません」と竹内は言う。彼はキャラクターの内面的な一貫性に焦点を当てているのだ。「自分たちが目にしているもののうち、一体どこまでが真実なのか。それを観客に問いかけるのは、とても面白いと思っています」。
「『本当の自分とは何か』という問いは、私にとっていつも自分の中のテーマの一つでした。稽古中に何かを発見するかもしれないし、本番中かもしれない。あるいは、すべてが終わった後になってようやく気づくのかもしれない」――彼はそう言って、不敵な笑みを浮かべる。
「その不確実な部分が、今、私を心からワクワクさせているんです」。

絶え間ない進化
あらゆるメディアや役柄を渡り歩く彼の歩みには、ある一貫したパターンが浮かび上がる。それは「現状に甘んじない姿勢」だ。次にどんな自分を見せたいかと尋ねると、彼は少しの間を置いて、簡潔にこう答えた。「自分に対して正直な役者でありたいです」
「『これが好きだ』『これが楽しい』という、自分のシンプルな欲求に正直でいたいんです。」と彼は言葉を継ぐ。キャリアを重ねれば、期待、あるいは義務といったプレッシャーが物事を複雑にするものだが、彼は常に自らの本能に立ち戻る。今の彼にとって、子どものような純粋な好奇心に忠実であることは、実績を積み上げたりパブリックイメージを守ったりすること以上に、切実で優先すべき課題なのだ。
「幼稚園の先生を演じてみたい」という、彼らしい気取らない「夢の役」には、その開かれた精神性がよく表れている。遊び心を忘れず、周囲を驚かせ、決して一つの型にはまろうとしない意志。これまでの彼のキャリアが物語っているのは、彼が一般的な「主演俳優」というイメージを維持することよりも、「一人の人間として、どこまで自分を再定義できるか」という探求にこそ、強い関心を抱いているということだ。
詳細情報
ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』日本公演の詳細は、こちらをクリックしてください。
この記事は『Tokyo Weekender』春号に掲載されています。
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