両国のランドマーク、江戸東京博物館が約4年の改修期間を経て、2026年3月31日、リニューアルオープンします。よりインタラクティブな展示と没入感のあるストーリーテリングが特徴です。江戸の活気からモダンな東京の変遷まで、よりリアルに、よりドラマチックに体験できるようになりました。
公式オープンに先駆けて行われた内覧会の様子を、進化したポイントとともにレポートします。
館内に一歩足を踏み入れると、そこはまさにタイムマシーン。江戸の町並み展示が拡大され、朝顔売りや天ぷらの屋台など、当時の息遣いを感じる細やかな展示が追加されました。天井に新設されたスクリーンには江戸の空が映し出され、視覚的にもその世界観にどっぷりと浸ることができます。
江戸東京博物館の新要素

服部時計店
今回最も注目すべき変化は、朝野新聞社ビルに代わって登場した服部時計店の実物大復元です。
1894年、セイコーグループの創業者・服部金太郎が初代時計塔を増設した歴史的瞬間を再現。天井に向かって26メートルもそびえ立つその姿は圧巻です。明治時代の銀座の象徴が、令和の今、博物館の新たなシンボルとして蘇りました。

中村座
江戸歌舞伎の権威、中村座もパワーアップしました。これまでは外観を楽しむのが主でしたが、来館者の声を受け、リニューアル後は内部に通路が設置され、芝居小屋の中に入ることが可能になりました。 当時の観客たちが感じた熱気や独特の空気感を肌で感じることができます。
1624年に初代中村勘三郎によって創設されたこの劇場は、当時最も権威のある芝居小屋とされ、歌舞伎だけでなく、説経節や曲芸など多様な興行が行われていました。1893年に閉場するまで、何度も火災による大きな被害を受けました。

アップデートされた大型モデル
1853年に創設された日本最古の遊園地、浅草花やしきの正門は通り抜け可能な展示としてアップデートされ、災害後の重要な復興プロジェクトの一部であった同潤会代官山アパートは、昭和初期の外観に復元されました。
館内のレイアウトも、江戸から東京への都市の変遷がより理解しやすくなりました。江戸の開府から始まり、産業革命や1923年の関東大震災など、都市の歴史における重要な瞬間を経て、2020年東京オリンピックを含む現代へと、膨大な資料とともに、激動の歴史を旅することができます。

江戸の美
常設展示だけでなく、「江戸の美」コーナーでは企画展示も楽しめます。リニューアルオープン後の最初の1ヶ月間は、歌川広重の『名所江戸百景』の全コレクションが、和綴じ本の形をイメージして特別にデザインされたフレームで展示されます。
日本最大の浮世絵師の一人とされる広重は、『東海道五十三次』シリーズでも知られています。『名所江戸百景』コレクションは1856年にシリアル形式で初めて出版されました。広重の没後、二代目広重によって完成されました。

主要なアップグレード
屋根の断熱・防水工事の改善や空調システムの近代化など、他にもいくつかの主要なアップグレードが行われました。1階のチケットカウンター横にはバリアフリートイレが設置され、エントランスホールの壁が取り払われて、より開放的で広々としたレイアウトになりました。
時代の変化に合わせ、博物館では13言語対応の音声ガイドを提供。以前のような貸出機ではなく、来館者が自分のスマートフォンなどでQRコードをスキャンしてアクセスする方式になりました。さらに、触察モデル、解説ビデオ、ピクトグラムなども導入されています。

伝統的な江戸前の味わい
リニューアルオープンに合わせてデビューするのが、2フロアにわたる和モダンなレストラン「和ダイニング こよみ」です。メニューは、東京から広まったそば、天ぷら、寿司などの伝統的な江戸前の味を中心に、銀座から生まれた日本発祥の洋食も提供しています。
ビーフステーキ、スコッチエッグ、真鯛などが楽しめる「江戸TOKYOよりどり膳」が特におすすめです。和菓子や抹茶デザートなどの軽食は、隣の「ippuku cafe」へ。ミュージアムショップ「D!G TOKYO」も近くに位置しています。

江戸東京博物館について
1993年に開館した江戸東京博物館は、建物の5階と6階にわたって約9,000平方メートルの常設展示スペースを有しています。ギャラリーは主に「江戸ゾーン」と「東京ゾーン」の2つのセクションで構成されています。実物大で復元された日本橋が中央の仕切りとなっています。
博物館は、江戸時代から現在までの東京の歴史を記録した35万点以上の資料を収蔵しています。市民からの資料の収集、修復、保存を重視しており、2024年度の新規収蔵品の84%が寄贈によるものです。

Yosuke Owashi
すみだ北斎美術館
江戸東京博物館を訪れる際に、あわせて足を運んでほしいのが、すみだ北斎美術館です。著名な浮世絵師、葛飾北斎に捧げられたこの美術館は、江戸東京博物館から徒歩わずか5分です。妹島和世氏が設計した鋭く角ばった建物自体も魅力の一つです。内部には、「赤富士」や「神奈川沖浪裏」など、北斎の最も象徴的な作品が展示されています。
また、北斎と娘のリアルな動く蝋人形や、彼の自宅兼仕事場の実物大復元モデルも展示されています。浮世絵の技法のインタラクティブな展示や解説があり、上層階からは東京スカイツリーの素晴らしい景色を眺めることができます。